Moon light

…私はずっと見ていた…
何年間もずっとあなたを見てきた
何でかな…


最初はどんな苦境に立たされてもそれに立ち向かっていく…、そんなあなたに憧れを抱いてたと 思っていた。

…でも、そうじゃなかったの…

あの日、アカデミ−からの帰り道、私は押し花に使う花を求めて森に入った。
夢中でお花を摘んでいたら、いつのまにか真っ暗になって、帰れなくなってしまった。
今、思うと白眼を使ったらよかったんだけど、そのときはただ、ただ怖くてそんなところまで頭が 回らなかった。

いったいどれくらい時が経ったのだろう…、いつまでたっても出られそうもない。疲れと恐怖で 泣きながら、その場に座り込んでしまった。

…その時… 
…どこからともなくかすかな泣き声が聞こえてきた…


その泣き声はとてもとても悲しそうで、なんだか放っておけなくておそるおそるその声のする方へ 足を進めていった。

月明かりに照らされた金色の髪…それがとてもまぶしくてちょっと目を細めた。その髪とは対照的に その少年はとても悲しそうな目をしてた。そのあまりにも対照的な少年にしばし見入っていると…

「…そこにいるの…、誰だってばよ?」

「…!!」
少年の顔が月明かりに照らされる。その顔は…

「…ナルト…くん?…」

その途端、少年はすごい勢いでその場から走り去ってしまった。
「ま、待って…!!」
少年を追いかけて走ったらいつの間にか森を出ていたらしく、気が付くと貯水槽の前の通に立っていた。

家に帰ると案の定、父上にはこっぴどく叱られ、仕置きとして一時間ほど蔵に閉じ込められて しまった。月明かりくらいの明かりしかない蔵はいつもならとても怖いものだったけど、今回は 不思議と怖くなかった。きっとあの悲しい碧の目がずっと私の心を捉えて離さなかったから…

…うずまき ナルト…

最初はただ、ただ悪戯好きの明るいクラスメ−トでしか思っていなかった。
けれどもあの日以来、彼の笑顔の中に隠れている悲しい瞳に惹かれている自分がいた。
辛さ、悲しさを瞳の奥に封印し、火影になるため、里の皆に認められるため、己を信じてひたすら 突き進む少年を見ていると、だんだん勇気がわいてきた、そして自分にも価値があるんだと…そう 思えてきた。それは、十年経った今でも変わらない。

ただ、変化していることと言えば、憧れの少年は私の恋人になり、隣で規則正しい寝息を立てて いることと…


「…ん?…、どした、ヒナタ?」
身体を起こした彼の瞳を見つめ、そして彼の胸に顔をうずめる。
「…ヒナタ?」

「今、ナルト君にまた惚れ直した…」
「オレは毎日、ヒナタに惚れっぱなしだってばよ!」
「バカ…。でも、うれしい…」
どちらからともなく二つの身体が重なり合った。窓から射しこむ月光に照らされた彼はあの日と 同じようにとても綺麗でまぶしかった。

でも……

彼の瞳にはもうあの日見た悲しみは無かった…


いつも、北山様の小説を楽しみに読ませて頂いているので、なにかお礼がしたいと 思い、コミックスを読みながら、勢いで書いてしまいました。しかし、改めて読み返してみると、 かなり下手になってしまいました…。すいません。ちなみに設定を少し説明いたしますと、これは ヒナタ七歳の秋くらいです。ヒナタがナルトをはじめて意識したエピソードです。ちょうど北山様の ヒナタも「走る人」シリーズの中で小三のときからナルトのことを意識し始めたので、年齢を七歳に しようと思いました。
執筆者/ウィップ


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