鈴蘭

「ヒナタ〜、早く来いって〜!」
「ま、待って・・・。」
よく晴れた休日、ナルトはヒナタと共に散歩デートをしていた。小高い丘を元気良く 登るナルトとは対照的に、ヒナタはノロノロとナルトの後ろを追うので精一杯だった。
(散歩って・・・、これじゃハイキング・・・。)
ヒナタは段々と痛みを感じ始めている足を、懸命に引きずって坂道を登る。なんでも ナルトがヒナタに見せたいものがあるらしいのだが、これでは途中で参ってしまいそ うだ。と、坂道の上からダダダーッとナルトが走ってこっちへ向かってきた。
「大丈夫か、ヒナタ?」
「う、うん・・・。大丈夫だから・・・。」
「ダイジョブそうな顔じゃないってばよ。」
ハァハァと肩で息をしているヒナタは、申し訳なさそうにナルトを見た。ナルトはポ リポリと顔をかくと、ヒナタにむかって右手を伸ばした。
「・・・?」
「ひ、引っ張ってやるよ!」
優しい言葉をぶっきらぼうにかけるところがナルトらしい。言ったはいいがさすがに面と向かっては 言えないらしく、左手で頭をかきながら少し照れているようだ。ヒナ タは嬉しそうに微笑むと、ナルトの手におずおずと手を伸ばした。
「・・・行くってばよ。」
「・・・うん。」
手から伝わる体温をリアルに感じるたび、二人は赤くなった。自分を引っ張ってくれているナルトの 背中は、以前よりずっと大きくなったように感じた。この背中をずっと見て頑張ってきたヒナタは、 不器用なナルトの愛情を心いっぱいに感じていた。と、いきなりナルトが立ち止まった。ヒナタは ナルトの背中に顔がぶつかり、バッと一歩身を引いた。
「ど、どうしたの・・・?」
「見てみろって。」
ナルトが先のほうを指差す。その方向には、一面に蒼い花が咲き乱れていた。ヒナタ の瞳の中に飛び込んできた一面の蒼い花畑は、まるで美しい絵画の中の世界の様だった。
「凄い・・・。」
「へへっ、ヒナタの花だってばよ!」
ナルトが得意げな表情を見せる。花の正体は鈴蘭だった。サァッと吹く風が鈴蘭の花 畑を通るたびに、一面の花が風に合わせて揺れた。
「ナルト君、これ・・・。」
「苦労したんだぜぇ、これ見つけんの。図鑑で見てさ、ヒナタにピッタリだと思って。」
「私に・・・?」
二人は花畑へ足を踏み入れた。ナルトが一輪摘んでヒナタの目の前に差し出す。ヒナ タはニコッと微笑んで差し出された鈴蘭を受け取った。
「この花、ヒナタと似てる・・・。」
「えっ・・・?」
「だって、いっつも下向いてんじゃん。」
ナルトがニィーっと笑った。ヒナタは「も〜っ!」とちょっと怒ったような表情を見せた。
「私、いつも下向いてるわけじゃ・・・。」
「冗談だって、冗談!」
ナルトはナハハッと笑うと、ヒナタの持っている鈴蘭の花を見てこう言った。
「綺麗なのにあんまし目立たなくて、でもなんか見とれちゃうんだよな〜。ヒナタとおんなじじゃん。」
鈴蘭の花を見ながらそう言ったナルトを、ヒナタは澄んだ瞳で見つめた。その視線に気づいたナルトは、 一瞬動けなくなった。その一瞬、いきなりヒナタの顔がアップになり、唇が柔らかい感触に包まれた。
「んっ・・・。」
ヒナタの唇が触れている。柔らかく、ほのかに甘い香りがナルトの鼻をくすぐる。 スッと柔らかな感触が引き、頬を赤く染めたヒナタが視界に入った。
「ヒナタ・・・・。」
「ありがとう・・・・。」
初めてのキス、見ていたのは鈴蘭の花と澄んだ青空だけ。手をつないで家路へとつく 二人を、蒼い花は風に揺れながら見送った・・・・・・・・。


なにぶん素人なもので、ホント謝りまくりです!とりあえず試作を書いて送りますので、 気に入っていただければギフトの隅っこにでも置いてください。
執筆者/亮俊


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