「ナルト君が、この里の人間じゃないからだよ。」

その言葉を発したとき、私は泣きそうな顔をしていた。


終わらない物語。



忍者の世界は、基本的に実力の世界だ。

強ければ、いろんな所から依頼が来る。

弱ければ、簡単な仕事しか来ない。

例外として、イルカ先生のような人もいるけど。

それでも、一部の例外を除けば、

実力のあるものは、上に行くシステムとなっている。

それが、どんな『化け物』であろうとも。



「ヒナタちゃん、今日も可愛いね。

おまけしとくよ。」

愛想良く、私は「すいません。」と答える。

こうゆうことは慣れているから。

「ありがとうございました。」

必要以上の作り笑顔を背中に受けながら

私は、ナルト君の元へ戻る。

「持とうか?」

「良いよ。せっかくの休みなんだから。体を休めないと。」

「でもさ〜。」

「いいって。」

ナルト君の優しさから、

私は、歩き出すことで逃げる。

―――あなたの優しさを無駄にするより、

周囲の視線の方が痛いから―――



私は、知っている。

町の人は、ある考えを持っていることを。

私が、九尾の狐を閉じ込めた檻を開ける鍵であると。

荷物を持つのは、それに対するささやかな反抗。

「しっかし、本当に久々の休みだもんなー。」

「そうだね〜。ここんとこ、休み無しだったもんね。」

「だからさ〜、ばーちゃんに言ってやったんだってばよ。

『ヒナタが、俺の顔忘れちまう』って。」

「ばーちゃんなんて言って良いの?」

「あっ、今の内緒!」

「なにそれ〜。」

ほら、今も向けられている視線。

例え、今は、木の葉の里の優秀な忍者でも、

明日は?明後日は?明々後日は?

それは、ナルト君が強く成る程大きくなる。

そして、過去にした事への後悔も。

「あら、ヒナタちゃん、今日は良いのが入ったわよ。」

声をかけてくれる魚屋のおばさんも。

「ヒナタちゃん、今度寄って行って。」

タバコ屋のおばーちゃんも。

「また今度ね。」

私は、必要の無い返事を返す。

「へー、ヒナタって人気者なんだな。」

違う。

人気者なのは、あなた。

私に優しくしているところを、

あなたに見せ付けたいの。



・・・・・・・・・・・・ごめんなさい。

いつもは、気にならないのに、

今日に限って、ほんの気まぐれに、

あなたのノー天気さが、少しだけ癇に障ったの。



「ナルト君が、里の人間じゃないからだよ。」

顔に『泣きそうな顔』を貼り付けて。

「えっ!?」

予想通りの顔をする。

「ナルト君が強くなったから、怖いのよ。」

「ど、どうゆうこと?」

「今、ナルト君が・・・例えば、

木の葉の次に強い国に行けば、

確実にその国は木の葉より強くなる。」

「そ、そんなこと・・・。」

「事実、ナルト君と渡り合える人なんて、

数えるくらいしかいないよ。贔屓目無しで。」

「だ、だからって。」

「過去に自分たちがした事を考えたら、

無くも無いと考えたんじゃない。」



淡々と話す、悲しい顔の裏で









暗い影の掛かったナルト君の顔が









たまらなく色っぽいと思った。





「・・・いつも、ああなの?」

「・・・うん。ナルト君が忙しくなってから、

少しずつね。」

ぼそりとつぶやく声に、

同じように答える。

「ヒナタは、どう思う?」

私は、少しだけうつむく。

そして、少しだけ沈黙。

そして、笑顔で、

「・・・私は、ナルト君が、この里好きなの知ってるもん。

だから、大丈夫だよ。火影になるんでしょ。

こんなこと、気にしたら駄目だよ。」

心の中では、どっちも自業自得と思うけれど。



「俺、頑張って火影になるってばよ。

そして、里中に認めさせてやるってばよ。」

その姿を、後ろから眺める。

私は、必死で笑いをかみ殺す。

それは、何の解決にもならないのに。

あなたが、力を持つことを怖がっているのに。

・・・多分一生気付けないだろうね。



それでも、あなたは努力し続けるでしょう?



何故なら、私がいるから。

『可哀相で、健気な』私のために、

あなたは、叶うはずの無い夢を見続ける。

何時までも終わらない物語。













だって、始まってすらいないんだもの。


ごめんなさい。
黒いです。そして気付いたことが一つ。
マジで、ヒナタさんは、ナルトさんが好きなんだな。と。
方法が、アレなだけなんです。独占したいんです。
そんなヒナタさんが、私は大好きなんです。
いかが思われます?
執筆者/海影


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