「ただいま。」「おかえり。」
この男は、任務が終わるたびに、私の下を訪れていた。
次期火影の座が現実味を帯びてきた今でも、それは変わらない。
例え、次の任務が詰まっていようと、それが休憩と呼べるか分からない物だとしても、男は、私を 求め続けた。


非道い女


帰って来る度に繰り返される抱擁。
男の傷だらけの指が、私の頬を撫でる。
それに応えるかのように、私は目を閉じる。
・・・そして、いつものように『それ』を感じる。
男自身の、男の殺したであろう人の、生臭い血の匂い。
私たちは、『それ』に包まれながら口付けを交わす。
変わらない、いつものこと。
血の匂いの中で、私は抱かれる。
首筋から、胸元から、指先から、止め処なく流れ続ける死の匂い。
それは、男が生きぬいた証。
シャワーでも消すことの出来ないもの。
生きるために、途切れることなく生産される死体の山。
たくさんの死体の山の頂上で抱かれる私。
たまらなく気持ち良い。
「ヒナタ。」
紡がれる言葉は、音以上の意味を成さない。
身体と身体、肌と肌、手渡される生の証。
それだけが、私を絶頂へと押し上げる。
「ヒナタ。」
私は、この男に愛されている。
これからも生き続けていくであろう男。
そして、その男に抱かれ続ける女。
山の頂上で行われる、微妙な生と死のバランスの上の奇妙なゲーム。
私は、この男を愛している。
だから、応えた。
「ナルトくん。」
身体の隅々まで、血の匂いが沁みこんでいく気がする。

次の任務に向かう男。
私は、その背中に声をかける。
決して届くことない声を。



「あなたが死ぬ間際に、私のことを考えますように。」


言い訳。趣味です。あと、この話のヒナタさんは、ナルトが無茶苦茶好きです。お互いが 片思いです。凄く弱くて、でも強くありたくて、そして一生懸命に生きるナルトがうらやましくて。 ナルトは、強くありたいとするヒナタが、かよわい花のようで、大切にしたくて。
テーマの一つが、すれ違いですから。
暗い気持ちで書くと、黒い話になる。今回の教訓。
執筆者/海影


モドル。
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