彼が任務から帰ってきた。
里に帰り、まず私に帰ってきたことを伝えると急いで報告書を出しに行ってしまった。
−報告書しっかり出して、そんで里に俺の任務完了を伝えるんだってばよ!
里のみんなに認められたい彼らしい理由だが、私は待ちきれない。
私は彼と一緒にいたい。一緒にいて彼を感じていたい。
一緒にいたくて報告書を出した彼と合流する。
任務を完了し、無事に戻ってきた事を確認している。
決めた事ではないが自然とそうなっていた。
二人で一緒に帰ってくるだけだが、それでも楽しい。
−戻ってきたんだ。
一緒にいると彼をしっかりと感じることができる。

「今回の任務ってさ…どんな感じだったの…?」
「ん?」
彼はキョトンとした顔をしている。
「えっと、ほら…ナルトくんがどんな事してきたのか知りたいし…」
「そっか。でも任務の事聞くなんて珍しいな。」
彼が任務に行くのはあまり好きではない。
任務中に命を落とす忍…殉職者と言う英雄だと彼は言う…。
そんな危険の付きまとう任務へは行ってほしくない。
でもそれは火影への過程…火影は彼の夢。
彼が上位ランクの任務に就いているときは心配で仕方がない。
夢に向かって頑張ってるんだから!…無理やり言い聞かせている。
夢を叶えてくれる事は嬉しい…でも、それでも…万が一…。
彼なら大丈夫だと言う想いの裏にある想い…。
「うん…でもナルトくんの活躍とか知りたいから…」
「そう言われてもなぁ…報告書に書いた事ぐらいしか覚えてないってばよ。」
「それでも…その…どんな感じだったのかなって…。」
「ふーん?そんなの知ってどうするんだってばよ?」
知って…それで私の知らない彼が少しでもわかれば…もっと彼を…愛しい彼のことを知りたい。
彼の一番の理解者になりたい。理解して…彼に安心感を与えたい。
「えっと、ね…どんな任務してきたのかな、って…」
「そうだなぁ…今回の任務は思ったより時間かかってなー−」
報告書に書いたことしか覚えてないと言いながらいろいろ話してくれる。
きっと誰かに聞いてほしかったのだろう。認めてほしかったのかもしれない。
今まで聞かないで、じれったい思いをさせてしまったのかもしれない。
「怪我は、しなかったの…?」
任務の内容よりも気になっているかもしれない。
「あーそういえば軽くやっちまってさ…。でもさでもさ、ヒナタの塗り薬ですぐ治ったんだってばよ。」
「も、もう大丈夫なの…?」
「そりゃもうバッチシ!もうどこ怪我したかわかんないってばよ!見てみるか?」
「え、え…?!」
おもむろに上着を脱ぎ始める彼を見て赤面してしまう。
「じょーだんだってばよ!怪我っても腕を擦りむいたくらいだし、大した事ないってばよ。」
「…そっか…それならよかった。」
上着を着なおすと彼は腕を見せてくれる。
改めて見ると普段の訓練で傷だらけ…任務での傷なのか訓練中の傷なのかわからない。
傷を見ていたら、ふと彼の腕に触れてしまった。
「たくさん…傷あるね…。」
「これってばたくさん訓練したって言う名誉の負傷なんだってばよ!」
確かアカデミー時代の先生も言っていた気がする。
「でも…あんまり無茶しないでね…?」
「わーかってるってばよ。いっつもヒナタに言われてるもんな。」
クスクスと笑いが込み上げてくる。
「それでも…やっぱり心配だし…。」
「相変わらず心配性だな。ま、ヒナタと一緒にいる限り大丈夫だってばよ!」
「え?」
「ほら、一緒にいると安心感とかあるし、今みたいに一緒に歩いてると一人じゃないって実感できるんだってばよ。」
嬉しいがどこか恥ずかしく顔が赤らんで熱くなってしまう。
「あー…それにヒナタに心配ばっかりかけられないってばよ。」
ならあんまり無茶しないでね、と微笑みかけ腕に触れていた手を下ろし、勇気を出して彼の手を握ってみた。
恥ずかしくて手から心臓の鼓動が伝わりそうだ。
上手く繋げず、彼の手を少し強く握ってしまった。
少しビックリした様子だったが彼は優しい笑顔を見せてくれた。
「一緒に…な?」
さらに恥ずかしくなってうつむいてしまう。
声が詰まったので、代わりに軽く手を握ってみた。
彼はそれに反応して私の手を握り返してくれた。
「うん…一緒にね…。」
精一杯の声は届いたかな…。


手を繋ぐので精一杯でした。(沈)
テーマ曲はタイトルと同名の「BE WITH YOU」(GLAY)
たまたま聞いていて、「ズギューンッ!!!」ときました。
あと、これは書こうと思って書いたお話じゃないです。
他のSSの別Verを書いていたらいつの間にか…。
会話が多くてナルトくんの台詞回しの大変さを実感しました。
いつかナルトくんがメインのお話を書きたい…。

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