「どこいるんだろう…。」
渡すモノも覚悟もある…。
だが、肝心の彼がどこにも見当たらない。
昨日までは任務だったから、と思い家に向かってみるが鍵がかかっている。
つい最近もらった真新しいスペアキーで恐る恐る開けてみるがいない。
「食事の跡があるから、一度家には帰ってきてるんだ。」
そう思いながら彼の食べっぱなしの食器類を片付ける。
−少し買い物に行ってるんだ…少し待てばすぐに帰ってくるよね。
自分にそう言い聞かせながら片付け終わるが、彼はまだいない。
−ちょっと遠くに行ってるんだ…部屋の掃除してれば帰ってくるよね…。
今度は部屋の掃除を始めるが、今ひとつ納得しきれない。
彼が買い物をするのは近所なんだからそんなに時間はかからないはず…。
「あ…。」
一箇所だけここから少し離れた場所があった。
「そっか…任務が終わったんだよね…。」
少し待っていれば…とは思ったが早く会いたくてパタパタと家を出る。

火影岩…いつもここで火影への夢を確認しているらしい。
任務が終わった後ならここに来ているかもしれない。
そう思って彼がいつもいる場所に向かってみるがいない。
−どこにいるのかもわからないんだ…何もわかってないんだな…。
そんな自分が少し嫌になってうずくまってしまう。
「初心忘れるべからず!俺の初心は火影になるって夢だからな!何があっても目指すものがあるから頑張れるんだってばよ!」
高らかに語っている彼をふと思い出してみる。
そんな自分の信念を貫く彼に憧れてどれくらい経つのだろう。
今では私も信念を貫けるようになったのかな。
−そうだよね。今の私には目指すものがあるんだから…頑張らないと。
彼に励まされ、また思考を巡らせてみる。
「他にいるとしたら一楽かな…でも食事の後には行かないよね。」
「任務の報告書出しに行ってるのかな…でもそれは小隊長の役割だし…。」
−ダメだ…わからない…。
こんな時に彼ならどこにいるだろう。
いっつも訓練ばかりで傷だらけだからまた薬渡さないとな…とも考えてみる。
「あ…もしかしたら…」

−いた…!
任務の後なのに演習場で訓練をしている。
目標があるからあんなに頑張れるんだ…。
そうだ、今の私にも目標がある。
だから私も頑張らないと!自分の信念を貫くために!
そう心の中で自分に言い聞かせ、一歩踏み出す。
踏み出してみたはいいが言葉が見つからない。
−どうすれば…
頭の中で考え込んでいると彼が気付いて歩いてくる。
−どうしようどうしよう
かける言葉が見つからずオロオロとしてしまう。
「ヒナタ?どうしたんだってば?」
「あ、えっと…」
やはり言葉に詰まってしまった。
−何をしている。すべき事はもうわかっているでしょう?
−で、でも…何から言っていいのか…
「あー、そういえばさ、ヒナタに前もらった塗り薬だけど、もうなくなっちゃってさ…。」
言葉に詰まって顔が真っ赤になっているだろう私を見かねたのか、彼の方から話を振ってくれる。
「あ、うん…いつも訓練ばかりで傷だらけだもんね。」
「へへっ俺ってば火影になるから、もっと修行しないといけないんだってばよ!火影になって…そんで今までで一番すっげー火影になる!」
「うん。ナルト君ならきっとなれるよ。」
「でも俺ってばまだまだなんだってばよ。今回の任務でも細かい失敗多くって…。
今回はたまたま大丈夫だったけど…次も大丈夫だってわけじゃない!だから失敗しないようにたくさん訓練するんだってばよ!」
「そっか…だから食べっぱなしだったんだ。」
クスクスと笑いかけると彼は焦って弁明する。愛しい…憧れているだけだった彼と私は話している。
そんな彼に私はプレゼントを渡そうとしている。…でも、なかなかキッカケが掴めない。
「そういえばさヒナタ。その包みはなんだってば?」
不意に彼から指摘されて焦ってしまう。
「あ、えっと…これね…プレゼント…。ほら、ナルト君いつも頑張ってるから…。その…」
また言葉に詰まっている私を察したのか、彼の方からプレゼントを受け取ってくれる。
「これってば開けてもいいか?」
「あ、うん…」
新しいオモチャをもらった子供のような無邪気さで楽しそうに包みをあけていく。
「これって…?」
「うん…マフラーだよ。最近寒いから…その…首元冷やすと風邪引きやすいらしいから…えっと…風邪引かないようにって…。」
「ふーん…?ありがとな。」
彼は嬉しそうにそれを首に巻いている。
−あれ…?
妙な異変には途中で気がついた。
−しまった!長すぎた!
編む事で頭がいっぱいになりマフラーとしての長さを考えていなかった。
頭の中がグチャグチャになる。これじゃせっかくのものが台無しになる。
「ほら…こうやって二人で巻けばピッタリだってばよ。」
余った分のマフラーで私も一緒に巻かれた。確かにちょうどかもしれないが…近い。
彼があまりにも近くに見えるのでまた顔が真っ赤になってしまう。
真っ赤な顔を見られるのが嫌で少しうつむき、声にならない声で頷く。
「ありがとな。ヒナタ。」
そう言って額にキスをくれた−


テーマは「二人でマフラー」
某別ジャンル某CPのそんな絵を見て思いつきました。
ちなみにテーマ曲はタイトルと同名の「またここであいましょう」(GLAY)
ヒナタ嬢のセリフにある「首元冷やすと〜云々」ってのは本当です。
特に喉から風邪を引く人は防御するといいらしいです。
そんな自分も最近はネックウォーマー愛用中。
しかし編んだマフラーが長すぎるなんて事は実際にあるのだろうか。否、ない。(反語断定)
追記:↑あるらしいです。

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